井上創太さん(博士後期3年,医療福祉学専攻,運動機能医科学研究所)と大鶴直史教授(理学療法学科,神経生理Lab,運動機能医科学研究所)の研究論文が国際誌に採択されました!

井上創太さん(博士後期3年,医療福祉学専攻,運動機能医科学研究所)と大鶴直史教授(理学療法学科,神経生理Lab,運動機能医科学研究所)の研究論文が国際誌「Virtual reality」に採択されました!

 

【研究の概要】

慢性疼痛患者では、患側の触覚情報の優先度が低下する「身体無視」様の症状がみられ、痛みを悪化させる可能性があります。本研究では、Virtual Reality技術を用いて、被験者の左手に個人の心拍情報(内受容情報)を視覚的に提示し、触覚情報の優先度がどのように変化するかを調査しました。さらに、内受容感覚を知覚する精度がフィードバックの効果に関連するかについても評価しました。その結果、心拍と同期した視覚的フィードバックによって、内受容感覚の知覚精度が低い被験者ほど、左手の触覚優先度を向上するという負の相関関係が認められました。

【研究者からのコメント】

本研究により、内受容感覚の知覚精度が低い被験者において、自身の心拍情報を提示した手の触覚優先度が向上する可能性が示唆されました。慢性疼痛患者では、内受容を知覚する能力が低いことが報告されています。そのため、本研究が「身体無視」様の症状を改善する一助となれば幸いです!

【本研究成果のポイント】

被験者自身の心拍と同期した視覚的フィードバックを行った群において、個人の内受容感覚の知覚精度と触覚情報優先度の変化量との間に有意な負の相関を認めました(横軸は内受容感覚の知覚精度を表し、負の値であるほど心拍を実際より遅く見積もることを意味する。縦軸は、触覚情報の優先度の変化を示し、正の値は左手の触覚情報を優先していることを意味する)。

 
  
原著論文情報
  

Sota Inoue, Naofumi Otsuru, Masayuki Hara, Hitomi Ikarashi, Koshi Iimuro, and Hideaki Onishi. VR-induced interoceptive feedback may impact tactile priority in individuals with low interoceptive awareness. Virtual Reality, in press