渡邉 拓さん(理学療法学科15期生,神経生理Lab,福井大学医学部附属病院)と小島翔講師(理学療法学科,神経生理Lab,運動機能医科学研究所)の研究論文が国際誌「BMC Neuroscience」に掲載されました!
【研究概要】
触覚刺激を指先に繰り返し入力することにより,一次体性感覚野(S1)の抑制性神経活動が減弱することが報告されています.本研究では,その触覚刺激の入力パターンの違い(静的触覚刺激 or 動的触覚刺激)が,S1の抑制性神経活動に及ぼす影響を検討しました.その結果,先行研究通り静的触覚刺激介入後はS1の抑制性神経活動が減弱し,この介入効果は介入前の抑制性神経活動の大きさに依存しました.一方で,動的触覚刺激介入後はS1の抑制性神経活動に有意な変化は認めませんでした.以上の結果から,触覚刺激がS1の抑制性神経活動に及ぼす影響は,触覚刺激パターンに依存して異なることが明らかとなりました.
【研究者からのコメント】
本研究結果は,触覚刺激の条件設定を行う際に触覚刺激パターンの調整が重要であることを示唆しています.今後,さらに効果的な刺激パターンを探索していく必要があると考えています.
【本研究のポイント】
①静的触覚刺激介入後はS1の抑制性神経活動が減弱したが,動的触覚刺激介入後は有意な変化は生じなかったこと.
②静的触覚刺激の介入効果は介入前の抑制性神経活動の大きさに依存したこと
原著論文情報
Watanabe, H., Kojima, S., Otsuru, N. et al. Effects of repetitive mechanical tactile stimulation interventions with stationary and moving patterns on paired-pulse depression. BMC Neurosci 26, 46 (2025). https://doi.org/10.1186/s12868-025-00960-w