北谷亮輔講師(理学療法学科、神経生理Lab、運動機能医科学研究所)の研究論文が国際誌『Experimental Brain Research』に掲載されました!
【研究内容の概要】
ヒトの歩行中には一次運動野を中心とした運動関連領野において、ベータから低ガンマ帯域(約30Hz)の脳活動が周期的に生じており、これらの周波数帯域の活動が皮質脊髄路などの運動下行路を介して下肢の筋肉を制御しているとされています。しかし、律動的な脳活動を変調させる経頭蓋交流電気刺激や律動経頭蓋直流電気刺激などの非侵襲的脳刺激法を用いて、これらの運動関連領野に対する脳刺激が下肢筋の律動的な制御に与える影響は明らかにされていませんでした。
【研究者からのコメント】
ヒトの歩行において大脳皮質などの上位中枢による制御が必要不可欠であることが徐々に明らかになってきています。本研究成果は一次運動野や補足運動野の活動の変調が歩行中の下肢筋の中でも選択的に影響が生じることを示唆する貴重な知見になります。
【研究成果のポイント】
一次運動野に対する30Hzの脳刺激により、大脳皮質からの神経入力の程度を反映するベータ・低ガンマ帯域のコヒーレンスが前脛骨筋内において増加する。
補足運動野に対する30Hzの脳刺激により、内側広筋・外側広筋においてベータ・低ガンマ帯域のコヒーレンスが増加する。
原著論文情報
原著論文情報 Kitatani R, Hirano S, Sorimachi R, Numata R, Hoshi H, Otsuru N, Shibata S, Onishi H. Beta to low-gamma rhythmic brain stimulation over primary motor cortex and supplementary motor area differentially modulates oscillatory neural drives during gait. Exp Brain Res. 2025 Oct 21;243(11):233. doi: 10.1007/s00221-025-07172-y.


