高橋朋弥さんが(本学大学院急性期理学療法コース修了、博士後期課程2年、神戸市立医療センター中央市民病院)国際学会Meeting of the International Society on Oxygen Transport to Tissue (ISOTT) 2025でThe Duane F. Bruley Travel Awardsを受賞

高橋朋弥さんが(本学大学院急性期理学療法コース修了、博士後期課程2年、神戸市立医療センター中央市民病院)国際学会Meeting of the International Society on Oxygen Transport to Tissue (ISOTT) 2025でThe Duane F. Bruley Travel Awardsを受賞しました!

ISOTT(International Society on Oxygen Transport to Tissue)は、1973年に設立され、酸素が空気中から体内に取り込まれ、各臓器・細胞で最終的に消費されるまでの輸送過程に関わる幅広い研究を推進している国際学会です。

本学の理学療法学科を卒業し、修士課程にて急性期理学療法コース(神戸市立医療センター中央市民病院)を修了した後、現在は同病院に勤務しながら博士後期課程で臨床研究を行っている高橋朋弥さんと、理学療法学科の椿淳裕教授らの論文が、8月24~28日の期間にギリシャで開催されたISOTT2025でThe Duane F. Bruley Travel Awardsを受賞しました。

 

 

受賞タイトル:Comparison of Prefrontal Cortex Oxygenation during Walking between Individuals in the Acute Phase of Mild Stroke and Healthy Controls

発表者:Tomoya Takahashi, Kentaro Iwata, Erika Omori, Yukihiro Maekawa, Kanji Yamada, Natsuki Takahara, Sota Kobayashi, Nobuo Kohara, Atsuhiro Tsubaki

論文の概要:脳卒中は脳血管の障害によって発症し、運動麻痺や歩行障害などの後遺症を引き起こすことで、今この瞬間にも多くの患者のADLやQOLを損なっています。この脳卒中に対しては、急性期では早期リハビリテーションの有効性が報告されていますが、同時に脳の虚血や低酸素を回避するための適切な脳血流管理が必要です。近赤外分光法(Near-infrared spectroscopy、NIRS)は、非侵襲的に脳における微小血管領域のヘモグロビン濃度や酸素飽和度を測定することができる手法であり、近年ではポータブル機器の普及により臨床現場でも活用され始めています。本研究では、急性期脳卒中患者の歩行リハビリテーション中の脳酸素化動態を測定し、健常な高齢者・若年者との比較を行いました。その結果、群間で歩行中のヘモグロビン濃度の変動に有意差はみられませんでしたが、脳酸素飽和度は急性期脳卒中患者で有意に低値であることを明らかにしました。本研究の結果については、さらなる検証は必要ですが、脳酸素飽和度が脳卒中急性期におけるリハビリテーションを安全に実施するための重要な指標となり得る可能性を示唆しています。今後は、脳卒中患者の早期リハビリテーション時の脳酸素化動態が機能予後に与える影響等を検証し、NIRSによる脳保護の観点で新たなリスク管理や効果判定の指標作りの基礎的知見を見出せるよう努めてまいります。