★ 石垣先生のご紹介(2022.04.26)

2022年4月より理学療法学科の助教に着任しました,石垣智恒です.北海道の養成校を卒業後,札幌市内の整形外科病院,カナダでのワーキングホリデー,北海道での修士課程,東京での博士課程および博士研究員としての活動を経て,現在に至っております.
“腱”に関する研究を、これまでは主にヒト生体を対象として行ってきましたが,最近では実験動物を対象としても行っています.これまでの研究を簡単にご紹介します.
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研究紹介:
1)野球選手の棘上筋腱形態異常と肩関節後方タイトネスとの関連
肩後方タイトネスと呼ばれる肩関節内旋可動域や水平内転可動域の制限は,投球障害肩のリスクとされてきました.そこで,肩後方タイトネスと棘上筋腱の形態的異常との関連を調べたところ,肩関節内旋可動域のみが棘上筋腱の肥厚と関連しました.このことから,肩関節内旋可動域が制限された選手では,投球動作中の棘上筋腱に加わるストレスを増加する可能性が考えられます.
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2)実施頻度の異なる下腿三頭筋伸張性収縮運動がヒト生体アキレス腱におよぼす影響
慢性アキレス腱症の有効な治療法とされる下腿三頭筋伸張性収縮運動を12週間行うことで,腱コラーゲン線維が再配向し,腱血液循環が増加する傾向があることを,ヒト生体を対象とした研究で明らかにしました.さらに、低頻度(週3回)と高頻度(週6回)のトレーニングを行っても,実施頻度間で結果に差はなく,週3回の頻度でも十分なトレーニング効果が得られる可能性が示唆されました.
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今後は,ヒト生体を対象とした運動の急性効果やそこからの回復過程に関する研究と,腱障害モデルラットを用いた腱障害の運動療法に関する研究を行っていきます.

原著論文情報:
1)Tomonobu Ishigaki, Motoki Hirokawa, Yuya Ezawa, Masanori Yamanaka, Supraspinatus tendon changes and glenohumeral range of motion in college baseball players, International Journal of Sports Medicine, 2022, 43(2): 145-150
2)Tomonobu Ishigaki, Keitaro Kubo, Effects of eccentric training with different training frequencies on blood circulation, collagen fiber orientation, and mechanical properties of human Achilles tendons in vivo, European Journal of Applied Physiology, 2018, 118: 2617-2626