★ 指先への刺激介入の効果は刺激に用いるピンの突出パターンに依存する!!(2021.04.09)

小島翔講師(理学療法学科、神経生理Lab、運動機能医科学研究所所属)の研究論文が、国際誌『European Journal of Neuroscience』に採択されました!!
指先への刺激が脳へどのような効果を及ぼすのか?について詳細に検討した報告となっております。詳しい研究の内容は以下にご説明いたします。

研究内容の概要

指先に対して20分程度継続的に刺激を行うと,大脳皮質の興奮性が変化することが報告されています.本研究では,この指先の刺激方法(刺激パターン)の違いが感覚機能に関与する大脳皮質領域の興奮性に及ぼす影響について検討しました.指先への刺激は点字様の刺激ピン24本(縦6本✕横4列)を用いて行い,介入条件は1)24本が同時に指先を刺激する(全体刺激)条件,2)刺激するピン列が左から右に移動する(移動刺激)条件としました.20分間の介入前後では,大脳皮質の活動を計測することができる脳磁界計測装置を用いて,大脳皮質活動を記録し,介入前と介入後でその活動の大きさを比較しました.その結果,全体刺激条件では介入前に比べ介入後で感覚機能に関連する領域の活動が増大し,移動刺激条件では活動が減弱することを明らかにしました.このことから,点字様の刺激ピンによる介入効果は,刺激ピンの突出パターンに依存することが示唆されました.

小島先生からのコメント

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指先をただ押されるだけの場合と指先を摩られる場合の感覚は全く異なると思います.今回は,そのような感覚入力の違いが感覚機能に関与する脳部位にどのような影響を与えるかを明らかにしました.今後はこのような刺激パターンの違いが感覚機能に及ぼす影響や個人に合わせた刺激パターンの選択に関する研究に発展させていきたいと思います.

研究成果のポイント:

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1.上段:刺激条件は指先全体を刺激する条件(赤)と指先を左から右に刺激が移動する条件(青)の2条件とし,20分間の介入を行いました.下段:その結果,指先全体を刺激する条件では介入前(黒,実線)に比べ介入後(赤:点線)で感覚領域の活動が大きくなりました.一方,刺激が移動する条件では介入前(黒,実線)に比べ介入後(青:点線)で感覚領域の活動が小さくなりました.

 
  
原著論文情報
  

Kojima S, Otsuru N, Miyaguchi S, Yokota H, Nagasaka K, Saito K, Inukai Y, Shirozu H, Onishi H. The intervention of mechanical tactile stimulation modulates somatosensory evoked magnetic fields and cortical oscillations. Eur J Neurosci. 2021 Mar 26. doi: 10.1111/ejn.15209. Online ahead of print. PMID: 33772899