心臓から脳への入力によって、運動に関わる経路の興奮性が変動している可能性!!(2020.03.27)

大鶴 直史准教授(理学療法学科,神経生理Lab,運動機能医科学研究所所属)の研究論文が,国際誌『Neuroscience』に採択されました!!

心臓が動いている感覚というのが運動に関連する経路に影響を及ぼしていることを明らかにした研究です.詳しい内容は以下のようになっております.

研究の概要:

心臓のような体の内部から脳に運ばれる情報は、内受容情報と呼ばれています。この情報によって、触覚などの感じ方が変動することが知られていました。しかしながら、運動の経路にどのような影響を与えているかは明らかではありませんでした。そこで運動の経路の興奮性を評価できる運動誘発電位を指標に検討しました。結果、運動の経路の興奮性は心臓からの入力によって変動している可能性が示されました。また、この変動は内受容情報に敏感な人とそうでない人では異なっていることも分かりました。

大鶴先生からのコメント:

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本研究は、心臓の活動から一定のタイミングで運動の経路の興奮性が揺らいでいることを示しています。つまり、心臓の活動からあるタイミングでは運動の経路が興奮しやすかったり、逆に興奮しにくかったりする可能性が想定されます。この結果は、運動の経路に対する新たな介入手法を生み出す基礎的知見になる可能性を秘めています。

本研究成果のポイント:

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図1.R波からの各タイミングにおける皮質脊髄路興奮性の変動

心臓の活動(R波)から200ミリ秒から400ミリ秒において、運動の経路(皮質脊髄路)の興奮性が変動することを示した点。

またその変動が個人の内受容情報への敏感さで異なることを示した点(図1)。

Goodは内受容情報に敏感な人。Poorは敏感でない人。

 
  
原著論文情報
  

Otsuru N, Miyaguchi S, Kojima S, Yamashiro K, Sato D, Yokota H, Saito K, Inukai Y, Onishi H. Timing of modulation of corticospinal excitability by heartbeat differs with interoceptive accuracy. Neuroscience 433: 156-162, 2020. https://doi.org/10.1016/j.neuroscience.2020.03.014