肘の曲げ伸ばしが悪いとケガをしやすい?-中学硬式野球選手の痛みの違いによる身体機能の特徴-(2019.06.14)

中村絵美助教(理学療法学科、スポーツ医科学Lab、アスリートサポート研究センター、運動機能医科学研究所)らの研究論文が国際誌『Journal of Physical Fitness and Sports Medicine』に掲載されました‼ 中村絵美先生は小学生・中学生を対象に野球肩・肘の研究を行っています.今回の研究はその一部で,中学野球選手を対象とした研究です.詳しい研究の内容は以下の通りです.

研究内容の概要

近年,成長期の少年野球選手において,繰り返しの投球負荷による肩や肘の障害発生が増加しています.全国各地で野球肘検診が実施されるなど,障害予防に関する取り組みも盛んになってきています.中でも中学生は発育発達のスパートを迎える時期にあたり,身体の変化が大きい時期となります.しかし,これまでに中学野球選手を対象に大規模な調査を行った研究は少なく,その特徴は明らかではありませんでした.今回,中学野球選手を対象にメディカルチェックを実施,肩や肘に痛みのある選手の身体機能の特徴を明らかにすることを目的に研究を実施しました.

中村絵美先生からのコメント

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本研究は中学硬式野球選手において,肩や肘の痛みを訴える選手がどのような身体機能の特徴があるかを検討しました.その結果,投球時に肘内側痛を訴えている選手では,痛みの経験がない選手に比べ,肘関節の屈曲伸展可動域の左右差が増大しており,肘外側障害(離断性骨軟骨炎)を発症している選手では投球時痛がないにも関わらず,肘屈曲伸展可動域制限が著明に認められました.しかしながら,今回の研究では肩痛を生じている選手のみに特徴的な身体機能は明らかにできませんでした.今後は,さらに詳細な検討を行うとともに,新たな痛みの発生に関与する因子を特定し,未然に予防するための介入方法などを検討していく予定です.

本研究成果のポイント

① 対象を発育スパート期を迎える中学生年代で行った点

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②  肩・肘の痛みの部位の違いにより身体機能を比較した点

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原著論文情報
  

Nakamura E, Edama M, Kikumoto T, Ito W, Hirabayashi R, Yamamoto N, Kubo M Characteristics of physical functions in junior high school baseball players with different site of throwing-related arm pain. The Journal of Physical Fitness and Sports Medicine [In press]