高橋朋弥さん(博士後期課程3年、神戸市立医療センター中央市民病院)と椿淳裕教授(理学療法学科、運動生理Lab、運動機能医科学研究所)の臨床研究論文が国際誌「Frontiers in Human Neuroscience」に採択されました!

高橋朋弥さん(博士後期課程3年、神戸市立医療センター中央市民病院)と椿淳裕教授(理学療法学科、運動生理Lab、運動機能医科学研究所)の臨床研究論文が国際誌「Frontiers in Human Neuroscience」に採択されました!

 

【研究概要】

脳卒中の急性期治療は進歩しており、発症早期から歩行を再獲得し、自宅退院に至る患者も増えています。しかし、屋内での歩行が自立していても、人混みや会話をしながら歩くなど、実生活で求められる歩行には困難が残ることがあります。このような「考えながら歩く」二重課題歩行には、注意や認知機能を担う前頭前野が関与します。

本研究では、歩行が自立している急性期脳卒中患者36名と健常高齢者17名を対象に、ウェアラブル型の機能的近赤外分光法(fNIRS)を用いて、通常歩行、計算課題、二重課題歩行中の前頭前野の酸素化変化と、歩行・認知課題の成績を比較しました。

 

【本研究成果のポイント】

通常歩行(Walk-ST)と比べ、計算課題(Serial-7-ST)および二重課題歩行(DTW)では、急性期脳卒中患者・健常高齢者ともに、前頭前野の酸化ヘモグロビンが増加し、脱酸化ヘモグロビンが減少しました。一方、これらの変化には両群で明らかな差を認めませんでした(図1A・1B)。

歩行速度、歩調、歩幅は、健常高齢者と比べて急性期脳卒中患者で低く、また両群とも通常歩行より二重課題歩行で低下しました(図2A・2B・2C)。計算課題の正答率には両群で明らかな差を認めませんでした。また、回答数は両群とも二重課題歩行で減少しましたが、群間差は認めませんでした(図2D・2E)。

【研究者からのコメント】

今回の研究では、屋内歩行が自立している急性期脳卒中患者においても、健常高齢者と比べて歩行パフォーマンスが低下していました。一方、二重課題歩行中の前頭前野の酸素化応答には、両者で明らかな違いはみられませんでした。

今後は、「どの程度歩けるか」という歩行能力だけでなく、「歩いているときに脳がどのように働いているか」という視点も組み合わせることで、実生活での歩行能力をより詳しく評価し、社会復帰を支えるリハビリテーションにつなげたいと考えています。

 
  
原著論文情報
  

Tomoya Takahashi, Kentaro Iwata, Natsuki Takahara, Erika Ohmori, Yukihiro Maekawa, Kanji Yamada, Sota Kobayashi, Nobuo Kohara, Atsuhiro Tsubaki. Prefrontal Cortex Oxygenation Dynamics during Dual-Task Walking in Independently Ambulatory Patients with Acute Stroke: A Comparison with Healthy Older Adults. Frontiers in Human Neuroscience. In press.