【大学院生の活躍】吉田麗玖さん(理学療法学科17期生,修士課程2年,バイオメカニクスLab,運動機能医科学研究所)が行った研究論文が,国際誌『European Journal of Applied Physiology』に掲載されました!!(2023.03.08)

吉田麗玖さん(理学療法学科17期生,修士課程2年,バイオメカニクスLab,運動機能医科学研究所),笠原一希さん(理学療法学科18期生,修士課程1年,バイオメカニクスLab所属,運動機能医科学研究所),村上優太さん(理学療法学科18期生,修士課程1年,バイオメカニクスLab所属,運動機能医科学研究所)が行った研究論文が,国際誌『European Journal of Applied Physiology』に掲載されました!!
画像1.jpg


研究の概要:
 レジスタンストレーニング(筋トレ)は短縮性収縮と伸張性収縮を交互に行うことで構成されますが,近年では筋トレによる筋力増加・筋肥大効果は伸張性収縮が大きく貢献している可能性が示されています.この伸張性収縮の利点として短縮生収縮と比較して筋力発揮が大きいだけではなく,エネルギー消費量が少なく,疲労しにくいという特性を有しています.しかし,我々が知る限り,伸張性収縮のみを反復した際の筋力や筋電図の変化を短縮生収縮のみおよび短縮生収縮と伸張性収縮で構成された通常の筋トレと比較した研究は見当たりませんでした.そこで本研究では,肘関節屈曲筋群を対象に 30 回の伸張性収縮のみ,短縮生収縮のみ,および両者の組み合わせた条件を実施した際の肘関節屈曲筋力および肘関節屈曲筋群の筋活動の変化を比較することを目的としました.
 その結果,伸張性収縮のみ条件は短縮性収縮のみ条件と比較して,高い筋力発揮を維持することが出来ました.さらに,興味深いことに,筋活動は全ての条件で同じ変化でありました.伸張性収縮のみ条件において,高い筋力発揮を維持できた背景には,タイチンをはじめとする弾性タンパク質が影響している可能性が考えられます.一方,伸張性収縮の筋力を維持できる特性は短縮性収縮と伸張性収縮を組み合わせた条件においては認められませんでした.そのため,疲労の少ないトレーニング処方を鑑みると,短縮性収縮を少なくすることが有益であることが示唆されました.なお,本研究は伸張性収縮を用いた研究の世界的な権威である野坂和則先生(Edith Cowan University)にご指導いただきました!!

吉田さんからのコメント:
 伸張性収縮を用いた筋トレは近年注目を浴びている中,どのような生理学的な背景の中で,筋力増加および筋肥大効果が短縮性収縮と比較して大きいのかは現在も研究が進められています.今回は筋電図を使用し,伸張性収縮および他の収縮様式における筋活動,筋力の推移を検討しました.伸張性収縮における筋力発揮は他の収縮様式よりも減少しにくいですが,筋活動は同様の減少を示しておりました.今後の研究では,下肢筋における検討や伸張性収縮により生じるとされている筋肉痛と筋疲労の関係も検討できればと考えております.

本研究のポイント:
1.収縮様式毎の筋力推移および筋活動の違いを明らかにした点
HP写真1.jpg
HP写真2.jpg

論文情報:
Less fatiguability in eccentric than concentric repetitive maximal muscle contractions. European Journal of Applied Physiology. Yoshida R, Kasahara K, Murakami Y, Sato S, Nosaka K, Nakamura M. Eur J Appl Physiol. In press

理学療法学科公式Instagramはこちら

理学療法学科学生公式Instagramはこちら