【教員紹介】星春輝先生のご紹介(2022.07.04)

 2022年7月より理学療法学科の助手に着任しました星春輝と申します.2018年に本学の学士を卒業後,本学の修士課程に進学しつつ神奈川県の回復期病院へ就職.その後,北海道の急性期病院、埼玉県の急性期病院での臨床活動を経て現在に至ります.これまでは“非侵襲的脳刺激法”を用いた基礎研究を行い,人の行動と脳の働きとの関係性について研究を行ってきました.
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研究紹介:
1) 運動肢と同側の大脳皮質興奮性と運動の難易度との関連
片手で運動を行った場合,運動した手とは反対の位置にある大脳皮質だけでなく,運動した手と同側の大脳皮質の興奮性も変化することが知られています.しかし,運動の難易度が,運動した手と同側の大脳皮質の興奮性に及ぼす影響は明らかになっていません.そこで本研究は,右手で行う運動の難易度が同側(右側)の大脳皮質興奮性へ及ぼす影響について調査しました(図1).
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その結果,単純な運動では同側の大脳皮質興奮性が減弱し(図2a),複雑な運動では運動機能の改善率に応じて興奮性が変化することが明らかになりました(図2b).これらの結果から,運動の難易度が同側の大脳皮質興奮性に影響を及ぼすことが示されました.
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2) 経頭蓋ランダムノイズ刺激の刺激タイミングが皮質脊髄路興奮性と運動機能に及ぼす影響
非侵襲的脳刺激の1つである経頭蓋ランダムノイズ刺激(transcranial random noise stimulation:tRNS)は大脳皮質興奮性と運動機能を向上させることが報告されていますが,効果的な刺激タイミングについては明らかになっていません.そこで本研究では,tRNSの効果的な刺激タイミングに関して調査しました.
その結果,運動練習前または運動練習中にtRNSを実施した場合に大脳皮質の興奮性が増大することが明らかになりました(図3).
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また,運動機能に関しては条件間で有意差を認めませんでした(図4).このことから,tRNSの刺激タイミングに依存して大脳皮質の興奮性は変化しますが,運動学習には影響しないことが明らかになりました.
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原著論文情報:
1) Haruki Hoshi, Sho Kojima, Naofumi Otsuru, Hideaki Onishi, Corticospinal excitability of untrained side depends on the type of motor task and degree of improvement in motor function, Brain and Cognition, Volume 148, March 2021, 105691
2) Haruki Hoshi, Sho Kojima, Naofumi Otsuru, Hideaki Onishi, Effects of transcranial random noise stimulation timing on corticospinal excitability and motor function, Behavioural Brain Research, Volume 414, 24 September 2021, 113479