★ 本間大介先生(本学科8期生卒,万代病院所属)が帝人株式会社が主催する「健康寿命延伸」に関する懸賞論文で1位を受賞しました!!(2020.09.12)

本学科卒業生の本間大介先生(8期生卒,万代病院所属)が帝人株式会社,およびNOMON株式会社が主催する「健康寿命延伸」に関する懸賞論文で1位を受賞しました!!

研究内容としては,近年,高齢者の中で問題となっているフレイル(健康な状態から体が衰弱している様子)についての研究です.結果は,プレフレイル群のバランス機能を解明し,バランス機能と関連する身体機能項目を検討しました.プレフレイル群はバランス機能が低下しており,より早期から予防を目的とした介入が必要です.バランス機能の改善に向け,下肢筋量および筋機能に着目した介入が有効な可能性が示唆されました.

本間先生からのコメント:

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本研究は高齢化社会において重要な課題である健康寿命の延伸に向け,プレフレイルのバランス機能および関連する身体機能に着目し実施したものです.臨床で関わる患者様の多くは診断名がつく疾患や障害以外にも,加齢に伴いフレイルやプレフレイルになっている方が多くおられます.そのため,本研究は診断名にとらわれずに,多くの患者様に応用可能な知見を得ることができたと考えています.また,帝人株式会社様,NOMON株式会社様が募集した懸賞論文にて,幸いにも1位を受賞することができ,とても嬉しく感じています.

本研究は院内における測定のみでなく,地域での測定も行わせていただきました.院内から院外,地域へと視点を広げることで新たな知見を得ることができました.また,研究の遂行に関するプロセスも院内で取り組むものとは異なり,とても勉強になりました.本研究は新潟市医師会様から助成を,TANITA様より機器のサポートをいただき行えてたことを,この場を借りて深謝いたします.今後も,臨床に応用可能な知見の獲得を目指し,広い視野を持って取り組んでいきたいと考えています.

研究内容の概要:

近年の高齢化に伴い着目されているフレイルは加齢に伴う予備能力が低下することでストレスに対する回復力が低下した状態であり,健康寿命の延伸を妨げる要因となっています.フレイルのバランス機能が低下することは報告されていますが、フレイルの前段階であるプレフレイルのバランス機能特性は明らかではなく,転倒予防に向け,どの時点からの介入が重要なのか明らかではありません.また,バランス機能は6つの要素により構成されていますが,プレフレイルを対象にバランス機能を構成する要因を個別に検討した報告はなく,バランス機能の改善に向けた効果的な運動療法は確立できていません.本研究の目的は①プレフレイルと対象群を比較し,プレフレイルのバランス機能特性の解明し,転倒予防の介入時期についてプレフレイル以前から必要なのか検討すること

②バランス機能に関連する身体機能項目を検討し,効果的な運動療法の介入点を検討し、バランス機能の改善に効果的な介入点を検討すること でした.

対象を健常群21例,プレフレイル群30例の2群に分類し,筋量や運動機能,歩行機能,バランス機能(Breif-BESTest)を分析したところ,プレフレイル群の身体機能に関連する項目は低下していませんでしたが,多くのバランス機能項目が低下していました.また,バランス機能と身体機能の関係について,プレフレイル群は予測的姿勢制御と下肢筋量体重比(r 0.519, p 0.004)が有意に関係し,歩行安定性と下肢筋量体重比(r -.389, p 0.042),運動機能であるF/w(r-0.510,p 0.005),RFD8.75/w(r -0.402,p 0.031)が有意に関係していました.これらのことから,フレイルと同様にプレフレイルは転倒リスクが高く,予防を目的とした早期からの介入が必要となることが示唆されました.バランス機能の改善に向け,下肢筋量および筋機能に着目した介入が有効な可能性が示唆されました.

本研究は健康寿命を延ばすための日常的な取組み,アイデアに関する懸賞論文について:

帝人,NOMONが募集した懸賞論文において1位を受賞しました.

https://productiveaging.jp/news/20200820.html

本研究成果のポイント:

①プレフレイル群のバランス機能をBreif-BESTestを用いて詳細な項目に分け検討したこと.

②筋量など客観的な指標を取り入れ,身体機能の客観的な評価を行ったこと.

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図1 バランス機能の構成要因と評価課題

バランス機能は6つの要因により構成さ,バランス機能評価はBreif-BESTestを用いて評価した.Brief-BESTestは運動制御理論の一つであるシステム理論に基づき考案されたBESTestから1項目ずつ抽出され作成されたものであり,バランス機能を簡易的かつ多方面から評価することができるスケールである.

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図2 運動機能評価における課題

運動機能は立ち上がり動作における床反力係数を評価した.この評価法は椅子からの立ち上がりができさえすれば評価可能な方法である.課題は浅く腰掛け,胸の前で腕を組み,最大努力にて3回の立ち上がり動作を実施した.

公開情報:https://productiveaging.jp/news/20200820.html (論文内容は後日公開予定)

本間大介,湊 泉,宮坂 大,酒井芳倫、鈴木勇人、堀米洋二,今井教雄,堂前洋一郎,遠藤直人,プレフレイルのバランス機能特性の解明および改善に向けた介入点の検討