教員研究紹介

髙橋 英明

髙橋 英明

変形性膝関節症の進行に伴い,軟骨細胞の規則的配列が失われる

変形性関節症 (Osteoarthritis; OA) は関節軟骨の変性退行疾患で高齢者において最も多い骨関節疾患の一つであり,関節痛を誘発し活動制限を引き起こす.組織レベルでは,OA進行に伴い軟骨細胞はアポトーシスによる細胞数の減少を認め,軟骨基質の減少により関節軟骨の力学的強度が著しく損なわれる.通常,関節軟骨細胞は,表層から石灰化層にいたるまで複雑に分化統制されており,局在別にその働きが異なる.そのため,関節軟骨細胞は表層の静止軟骨細胞から石灰化層の肥大軟骨細胞に至るまで柱状(カラム状)に規則性を持った配列パターンを成し細胞間において相互作用を有することが報告さている。本研究では,OAモデルラットを用いて解析をおこなった.その結果,病態の進行に伴い細胞数が減少するだけでなく,細胞の配列パターンも失われた.これらのことから,関節軟骨の恒常性維持には,細胞数と規則的配列の維持が重要な因子であることが示唆された.

成長期における筋収縮は腱-骨移行部の構造形成に関与する

腱と骨の移行部はenthesisと呼ばれ,軟組織から硬組織へと力を伝達する部位である.enthesisは線維軟骨によって形成され,波状構造を呈することで力伝達効率を上げたり,破断しない様に力を分散するアンカーとしての役割がある.本研究では,成長期ラットに対し坐骨神経切除を行い,生理学的ストレス(筋収縮)がアキレス腱-踵骨付着部の波状構造成熟に必要であるかを検証した.その結果,筋収縮の欠如は,コラーゲンの平行性を失い,波状構造を平坦にした.これらのことから,成長期におけるenthesisの構造的な成熟には,筋収縮が必須であることを明らかにした.

玉越 敬悟

玉越 敬悟

脳卒中後の運動療法が運動機能障害と中枢神経系に与える効果

脳卒中リハビリテーションのエビデンスを構築するために,脳卒中モデルラットを用いて,脳卒中後の運動療法が運動機能障害や中枢神経系にどのような影響を及ぼすか検証している.また,運動療法の種類や介入時期によって,それらに与える影響にどのような違いがあるか検証し,脳卒中リハビリテーションの最適な介入方法を明らかにしようとしている.