【授業の様子】サイエンスライティング~科学的な文章の作成,プレゼンテーション能力を磨こう!!~

3年次の後期選択科目「サイエンスライティング」の講義内容を紹介します.
サイエンスライティングでは,医療福祉系の大学生に必須な科学的リテラシー(科学的知識を用いて読み書きする能力)に関する学習を通して,「上手な文章の書き方」や「わかりやすいプレゼンテーションの方法」を身に着けることを目的に講義を行っています.
理学療法士として必要となる文章力やプレゼンテーション能力を磨くことができます.
01 (14).JPG02 (16).JPG

本講義を担当している石浦章一先生は,東京大学や同志社大学などでも教鞭をとられており,サイエンスライティングに関わる分野の超専門家です.
(著書:サイエンスライティング超入門など)
03 (14).JPG04 (10).JPG

今回は,サイエンスライティングの授業で実施した課題の一つである「科学ニュース」に関して,実際に学生が講義内で作成した記事を一部紹介します!!

記事①:ペンギンの睡眠は数秒の積み重ね(理学療法学科3年 中島雄太)
 数秒間の睡眠をマイクロスリープと呼ぶ。リヨン神経科学研究センターのポール・アントワーヌ・リブーレル氏らの研究チームは、ヒゲペンギンがマイクロスリープにより4秒程度の睡眠を1日に約1万回以上行い、11時間近い睡眠時間を確保していることを報告した。
 上記の研究チームはキングジョージ島に生息する14頭のヒゲペンギンに対して、睡眠関連脳波活動量や頸部筋電図、加速度計による動きや姿勢の評価、GPSによる位置測定、圧センサーによる潜水の測定などを用いて、ペンギンのマイクロスリープを調査した。調査の結果、ヒゲペンギンは脳の両側で深い睡眠をする両半球徐波睡眠(BSWS)を2.26±0.41秒し、脳の半分が深い睡眠をする単半球徐波睡眠(USWS)を右半球で1.13±0.07秒、左半球で1.09±0.05秒していることがわかった。さらに、これらの睡眠の連続した発作を一回としてカウントした持続時間は3.91±0.83秒であった。そして一日にBSWSは8.55 ± 1.42時間、USWSは左半球と右半球でそれぞれ2.98 ± 0.56時間と3.38 ± 0.68時間されており、各半球は1日当たり深い眠りである徐波睡眠を11.5~12時間していることがわかった。
 ペンギンは卵を守るために、常に警戒を怠れない。そのため、人間のようにまとまった睡眠時間を確保できない。そんな環境の中、ペンギンたちがどんな戦略をとっているか明らかになった。
引用:P-A Libourel, W Y Lee, I Achin, H Chung, J Kim, B Massot, N C Rattenborg. Nesting chinstrap penguins accrue large quantities of sleep through seconds-long microsleeps. Science 30 Nov 2023 Vol 382, Issue 6674 pp. 1026-1031 DOI: 10.1126/science.adh0771

記事②:週末の「遅寝遅起き」が月曜日に血圧上昇を招く(理学療法学科3年 落合優花)
 我々はしばしば, 休日に遅く起きたり夜更かししたりするなどして, 平日と休日の生活リズムが数時間ずれる状態を経験する. 休日の生活リズムの乱れにより, 平日の生活リズムとの不調和が起きる現象は「社会的時差ボケ」と呼ばれている. この社会的時差ボケがたった1回起きるだけで動脈硬化が生じ, 早朝血圧が増大するということが2023年7月14日に学会誌「Hypertention Research」にて公開された.
 早稲田大学スポーツ科学学術院の中村宣博らの研究グループは, 休日の生活リズムを人為的にずらし, 社会的時差ボケの状態を作り出す介入研究を実施した. その結果, 一過性の社会的時差ボケが早朝血圧を増大させることが明らかとなった. 具体的には, 起床時の血圧の平均を見ると, 金曜日には117 mmHgだったのに対し, 月曜日には130 mmHgとなっていた. また, 早朝血圧の変化と動脈硬化度の変化量, 動脈硬化度と交感神経活動の変化量の間に有意な相関関係が認められた.
 血圧は, 就寝時に低下し, 起床前から起床後2時間頃まで上昇する. 早朝の血圧増加は必要不可欠な応答であるが, 過度な昇圧は心血管イベントのリスクになることが報告されている. また, 興味深いことに早朝の過度な血圧増加は月曜日に発生しやすいことが報告されている. 現代社会において, 多くの人々が土曜日および日曜日を休日としていることを考慮すると, 本研究にて観察された現象は一般的に心血管疾患が月曜日に発生することが多い理由の一端を担っている可能性がある.
引用:Nobuhiro Nakamura, Hiroshi Akiyama, Mei Nishimura, Kejing Zhu, Katsuhiko Suzuki, Mitsuru Higuchi, Kumpei Tanisawa. Acute social jetlag augments morning blood pressure surge: a randomized crossover trial. Hypertens Res. 2023 Sep;46(9):2179-2191.
DOI: 10.1038/s41440-023-01360-5

理学療法学科では多くの選択科目が開講されており,学生が興味のある様々な分野の内容を学ぶことができます!!
05 (7).JPG

下記のインスタのフォロー・いいね!・コメントよろしくお願いします!
理学療法学科公式Instagramはこちら
理学療法学科学生公式Instagramはこちら