【卒業生の活躍】一杉直樹さん(理学療法学科17期生、運動生理Lab、聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院)、堀田一樹准教授(北里大学理学療法学専攻)、椿淳裕教授(理学療法学科、運動生理Lab、運動機能医科学研究所)、高見澤怜さん(理学療法学科17期生、運動生理Lab)らが行った研究論文が、国際誌『Microcirculation』に採択されました!!(2023.10.02)

研究の概要:
 敗血症は、感染症により重篤な臓器障害が引き起こされる状態と定義されており、この多臓器に及ぶ重篤な臓器障害は高い死亡率を示すことが問題視されています。近年、理学療法の対象となる敗血症患者は増加しておりますが、敗血症患者における理学療法は確立に至っておりません。本研究は、敗血症モデルラットを対象とした基礎研究であり、敗血症が筋収縮中の骨格筋間質の酸素分圧に与える影響を検討しました。その結果、敗血症モデルラットでは健常なラットと比較して、筋収縮中に骨格筋間質酸素分圧がより急速に低下し、より低い値を示すことが明らかとなりました。そして、本研究では、この骨格筋間質酸素分圧の急速な低下には活性酸素種が関与している可能性があることも明らかとしました。

一杉さんからのコメント:
 敗血症は上述した通り多臓器の障害を引き起こし、骨格筋もその影響を受ける臓器の一つです。先行研究では安静時の骨格筋に着目されており、骨格筋の主要な機能である筋収縮中の酸素動態は明らかにされていませんでした。興味深いことに、本研究で対象とした敗血症モデルの骨格筋間質酸素分圧は、安静時には健常と差がないにも関わらず、ひとたび筋収縮を引き起こすと急速に低下しました。本研究の結果を臨床現場へ直接還元はできませんが、引き続き精進していき、基礎研究と臨床現場の橋渡しを担える人材になれるよう取り組みたいと考えています。
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左から椿淳裕教授、堀田一樹准教授(北里大学)、一杉直樹さん、高見澤怜さん

本研究のポイント:

  • 敗血症モデルラットを作成し、安静時から筋収縮中にかけての骨格筋間質酸素動態を明らかにした。
  • 敗血症は骨格筋間質酸素分圧に対して安静時には影響を及ばさないが、筋収縮中により急速に低下させた。
  • 活性酸素種の除去は、敗血症における骨格筋間質酸素分圧の急速な低下を回避させた。

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図1. 実験風景

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図2. 安静時から筋収縮中にかけての骨格筋間質酸素分圧動態

論文情報:
Naoki Hitosugi, Kazuki Hotta, Yoshikazu Taketa, Ren Takamizawa, Yutaka Fujii, Ryo Ikegami, Hajime Tamiya, Tatsuro Inoue, Atsuhiro Tsubaki. The Effect of Sepsis and Reactive Oxygen Species on Skeletal Muscle Interstitial Oxygen Pressure During Contractions. Microcirculation, 2023(in press)

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