M1小脳への交流電流刺激が運動成績にもたらす効果は、刺激強度に依存しない!!(2019.03.25)

宮口翔太助教(理学療法学科,神経生理Lab,運動機能医科学研究所所属)らの研究論文が国際誌『Journal of Clinical Neuroscience』に採択されました‼

宮口先生は,脳の機能や活動について数多くの研究を行ってきており,今回は,脳への刺激の効果を検討したものです.研究の詳細と宮口先生からのコメントは以下の通りです.

研究内容の概要:

我々が円滑に運動を遂行するには、一次運動野(M1)と小脳領域の活動が重要となります。本研究では、脳の律動活動を調節できる経頭蓋交流電流刺激(tACS)を使って、M1と小脳領域を同時に刺激することで、もともとの運動成績が低い人ほど、運動成績が向上する関係性が認められました。また、この刺激効果は、tACSの刺激強度(1mA or 2 mA)には依存しないことが明らかになりました。さらに運動学習段階によっても刺激効果が異なり、学習早期に有効である可能性が示されました。

宮口先生からのコメント:

宮口先生.jpg

本研究は、非侵襲的脳刺激法を用いて刺激中の運動パフォーマンスの変化を検討した研究になります。昨年からの研究により、運動パフォーマンスを向上させるための効果的な刺激方法(刺激部位、刺激周波数、刺激位相、刺激強度)が明らかになりつつあります。今後は、この刺激方法を応用することで、運動学習効率をより高めるための介入方法の開発に取り組んでいきたいと考えています。

本研究のポイント

1.M1小脳へのtACSの効果が刺激強度に依存するかどうかを検討した点(図1)

宮口先生図1.jpg

ベースラインのエラーが大きい人(運動が下手な人)ほど、M1小脳へのtACSによってエラーが低下する(運動が上手くなる)関係性が認められた。この関係性は1 mA、2 mAどちらの刺激強度においても認められた。

 
  
原著論文情報
  

Shota Miyaguchi, Naofumi Otsuru, Sho Kojima, Hirotake Yokota, Kei Saito, Yasuto Inukai, Hideaki Onishi. The effect of gamma tACS over the M1 region and cerebellar hemisphere does not depend on current intensity. Journal of Clinical Neuroscience(2019).