★複合性局所疼痛症候群による慢性的な足部の疼痛と歩行障害に対し超音波療法が著効した一症例が理学療法学に採択されました!!(2018.03.26)

本学8期生の吉田亮太さんの症例報告が「理学療法学」に採択されました!!

臨床上,治療に難渋する疾患の一つである複合性局所疼痛症候群に対する理学療法の効果を報告した内容となっております.

報告の内容と吉田先生からのコメントは以下のようになっております.

報告の概要:

 複合性局所疼痛症候群(Complex Regional Pain Syndrome:CRPS)は外傷等を契機に発症する難治性の慢性疼痛症候群です.近年の研究によりその発生機序等も明らかになりつつありますが,依然としてコンセンサスが得られていない点も多く,世界的にみてもその理学療法が確立されているとは言い難い現状です.今回,事故をきっかけとして慢性的な足部の疼痛とそれによる歩行障害を呈する症例を担当させて頂きました.理学療法評価より,本症例に生じている疼痛は単なる侵害受容性の痛みであるとは考え難かったため,多面的な臨床推論と理学療法の展開を心掛けました.その結果,慢性的に生じていた疼痛は介入開始後3週で消失し,日常生活機能の向上を認めました。本症例に対する理学療法には認知,情動,神経系に対するものなど様々なプログラムを含みましたが,中でも,足部の循環障害を改善することを目的として行った超音波療法が疼痛消失に直結したことは,本報告の特筆すべき点だと考えています.

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安静静止立位時における足圧分布の経時的変化

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歩行時における足圧分布の経時的変化

吉田先生からのコメント:

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CRPSに対する理学療法は世界的にみても確立されていません.しかし,生じているメカニズムを丁寧に検証し,それに対するプログラムを展開できれば改善に向かう可能性は大いにあると考えます.本症例を通し,様々な因子を含む包括的な臨床推論の重要性を改めて学びました.また,本症例報告は,CRPSや慢性疼痛に対する理学療法を再考する上で有益であると考えています.