★大学院修士課程2年(理学療法学分野)中川弘毅さん(神経・筋・骨組織Lab,運動機能医科学研究所,田巻研究室)の研究論文が海外雑誌に掲載決定!

研究結果
除神経による不動初期における筋電気刺激が筋毛細血管の減少及び筋萎縮の軽減に及ぼす効果

研究の概要

不動により骨格筋は萎縮し、筋毛細血管も減少します。電気刺激によりこれらの改善をはかる試みは古くからなされていますが、不動初期における低頻度(低強度)電気刺激(10Hz)の効果については明らかにされていません。また、毛細血管の新生やコラーゲン分解に働くタンパク質がどのように関連しているか不明なままです。そこで本研究では、除神経による不動初期の筋萎縮と毛細血管数の減少を低頻度電気刺激で軽減されるか、また筋線維の維持や血管新生に関連するMatrix metalloproteinase (MMP-2)の振る舞いについて調べました。その結果、低頻度電気刺激により不動初期の筋線維横断面積、筋線維毛細血管比の減少を軽減されました。またMMP-2は除神経で激増し、低頻度電気刺激でそれ以上変化せず、筋活動の強度依存的に変動する可能性が示唆されました。

本研究成果は、BioMed Research International誌に掲載されました。

研究者からのコメント

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本研究結果より、不動初期における低頻度筋電気刺激の毛細血管や筋線維へのポジティブな効果が伺えました。より効果が得られる刺激条件や骨格筋の状態を検証して、リハビリテーション分野への応用可能性を模索していければと願いいています。

研究のポイント

ポイント①

筋毛細血管を蛍光免疫染色(CD34)で同定しました。

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ポイント②

除神経による筋線維-毛細血管比の低下が低頻度電気刺激により軽減しました。

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ポイント③

除神経でMMP-2陽性面積が激増しますが、低頻度電気刺激で有意に変化しませんでした。

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原著論文情報

Nakagawa K, Tamaki H, Hayao K, Yotani K, Ogita F, Onishi H, Yamamoto N, Electrical stimulation of denervated rat skeletal muscle retards capillary and muscle loss in early stages of disuse atrophy. BioMed Research International, Article ID 5695217, 2017.

用語説明

Matrix metalloproteinase (MMP):細胞外マトリックス(コラーゲン、プロテオグリカン、エラスチン等)の分解や血管新生などに関わるタンパク質。免疫染色:特定の抗体を用いて組織中の抗原を目で見えるように検出する組織化学的な方法。