小林ゼミ

 

立位姿勢における性別,前頭位の有無と脊柱可動域の検討

本研究の目的は,健常成人での性別・不良姿勢の有無による脊柱の可動域・角度に差異が認められるかを明らかにすることである.健常成人男性7名,女性14名を対象とし,不良姿勢の有無を前頭位の有無で判別し,性別間・前頭位の有無で脊柱の可動域と角度をそれぞれ測定した.脊柱の可動域は長座体前屈・後屈・側屈・回旋の項目で測定した.脊椎間角度,および可動域測定は,スパイナルマウスで測定した.その結果,前頭位の有無に性差は認められなかった.可動域については性別間・前頭位の有無による差異は認められなかった.角度では静止立位時の仙骨傾斜角は女性で有意に増加していた.また,前屈時の腰椎後弯角で女性が有意に減少していた.前頭位の有無による比較では,角度で静止立位時の胸椎後弯角が前頭位あり群で有意に増加していた.本結果より,若年健常成人の姿勢については現代の健常成人の姿勢の特徴としてみられる傾向となった.可動域については性別間・前頭位の有意な差異は認められなかった.これは若年成人では脊柱の退行性変性がなく,筋力などでの代償を行いやすい状態であるためではないかと考えられた.

key words:脊柱柔軟性,前頭位,スパイナルマウス,健常若年者

 

肩峰,股関節,足圧中心の移動距離がファンクショナルリーチに及ぼす影響

本研究の目的は,動的バランス能力の指標とされているファンクショナルリーチテスト(FRT)について,肩峰,股関節,足圧中心(COP)の移動距離に着目しFRTとの関係を検討することである.対象は若年成人男性10名とし,三次元動作解析装置と床反力計を用いてFRTを行った.その結果,股関節移動距離とCOP移動距離に有意な相関が認められた.また,FR距離とCOP移動距離に有意な相関が認められた.肩甲帯突出距離とFR距離,COP移動距離に有意な相関は認められなかったため,肩甲帯突出距離がFRTに与える影響は少ないと考えた.股関節の後方移動距離が少ないほどCOPは前方へ移動し,COPが前方へ移動するほどFR距離は大きくなった.若年成人と高齢者では姿勢制御が異なると推測され,高齢者にそのまま当てはめることはできないが,若年成人を対象とした場合にFRTは動的バランス能力の指標になり得ることが明らかとなった.

key words:動的バランス能力,肩甲帯突出,下肢の運動戦略

 

転倒予防10種運動における運動負荷量の検討

本研究の目的は,転倒予防10種運動座位版・立位版の負荷量について%peakVO2,%HRmaxBorg指数,MET4指標から検討することである.健常成人男性10名を対象に,座位7分運動,座位14分運動,立位7分運動,立位14分運動の順で運動測定した.その結果, %peakVO2は立位版において7分運動より14分運動で有意に低値を示した.%HRmaxは同じ運動時間において座位版より立位版で有意に低値を示した.METは立位版において7分運動より14分運動で有意に低値を示した.Borg指数は座位版において7分運動より14分運動で有意に高値を示した.それ以外の比較項目では有意差は認められなかった.総合的には運動4条件において決定的な負荷量の違いは認められなかった.本10種運動は比較的低強度で,そのため今回設定した運動条件では負荷量に差が現れなかったものと考えられる.環境条件を一定にし,高齢者を対象に検討していく必要があると考えられる.

key words:転倒予防10種運動,酸素摂取量,心拍数,METBorg指数

 

指先接触からの感覚入力が動的立位バランスに与える影響

本研究の目的は,動的立位バランス時に力学的支持のほとんどない5指指先接触を施すことによって,動的立位バランスにどのような影響を与えるかを検討することである.対象は本学男性学生20名とした.力学的支持性を2030gに制限した指先接触装置を作製し,5指で接触することで体性感覚入力を施した.測定条件を,視覚条件と指先接触条件から①開眼・接触なし,②閉眼・接触なし,③閉眼・5指からの3条件をスタビリティシステムレベル8,レベル4で行い計6条件をランダムに実施し,重心動揺を測定した.その結果,レベル8においては閉眼・接触なしと比較して閉眼・5指接触で有意な変化は見られなかったが,レベル4にて閉眼・接触なしと比較して閉眼・5指接触で有意に減少した.また,閉眼時の5指接触を施すことで接触なしよりも変化量が各レベルとも有意に減少した.以上から,5指指先接触による体性感覚入力を施すことで,床面が不安定な場合に限り閉眼時の動的立位バランスを向上させることが示唆された.

key words:重心動揺,閉眼,体性感覚入力,動的立位バランス

 

傾斜する床面での立位保持能力に足趾機能が与える影響
~足趾接地・非接地の比較~

本研究の目的は傾斜する床面上において,足趾が動的立位姿勢制御に果たす役割を明らかにすることである.被検者は本学の健常若年女性10名とした.全被検者に足趾把持筋力測定を行った後,Stability Systemを用いて重心動揺を測定した.測定条件は床面が安定した状態・不安定な状態・その中間の状態の床不安定レベル3種類に対し,足趾免荷板を用いた全趾接地・母趾接地・第25趾接地・全趾接地なしの足趾接地4種類の12条件にて行った.その結果,床が不安定になるにつれて重心動揺は有意に増加したが,足趾の接地の有無に関わらず,各足趾接地条件において有意差は見られなかった.よって,傾斜する床面上での動的立位姿勢制御では足趾の関与は少ないことが示唆され,Ankle StrategyHip Strategyといった姿勢方略によって動的立位姿勢制御を行っていることが推察される.

key words:動的立位姿勢制御,Stability System,足趾筋力,重心動揺

 

転倒予防10種運動の筋電図学的分析

本研究の目的は,転倒予防10種運動の立位版及び座位版の筋活動量について検討することである.対象は健常成人男性7名とした.筋電図の被験筋は,左の腹直筋,脊柱起立筋,大殿筋,中殿筋,大腿直筋,大腿二頭筋,前脛骨筋,腓腹筋の8筋とし,転倒予防10種運動立位版及び座位版を行ったときの筋活動量を測定した.その結果,立位版,座位版ともに下肢・体幹の被験筋において平均20RFEMG40 RFEMGの筋活動が導出され,ほぼその種目が目的とした筋が活動していた.また,当初予測していなかった筋の活動も確認できた.転倒予防10種運動を若年者より筋力の低い一般高齢者から要支援高齢者までの対象に適用する場合には,反復回数やセット数を工夫することで,筋力向上の運動に益することができると考えられる.

key words:転倒予防10種運動,高齢者,筋電図学的分析

 

足部冷却時の立位重心動揺は指先接触により減少するか

本研究の目的は,冷却によって足底感覚を低下させた時,指先接触により立位重心動揺が減少するかを検討することである.対象は女子学生20名とした.両側の外果下端までを5℃の氷水で10分間冷却し,足底感覚を低下させた.また,指先接触装置を作製し,装置に5指で接触することで体性感覚入力を施した.測定条件は①冷却なし・開眼・接触なし,②冷却なし・閉眼・接触なし,③冷却あり・開眼・接触なし,④冷却あり・開眼・接触あり,⑤冷却あり・閉眼・接触なし,⑥冷却あり・閉眼・接触ありの6条件とし,重心動揺を測定した.冷却時,開眼条件では有意差が認められなかったが,閉眼条件では指先接触により重心動揺は有意に減少した.また,開眼・閉眼条件とも冷却により重心動揺に有意差は認められなかった.以上から,足部体性感覚と視覚という複数の感覚が低下した際,指先接触から感覚入力を施すことによって,立位重心動揺が減少する可能性が示唆された.

key words:体性感覚入力,足底感覚,姿勢制御

 

足部冷却による足底表在感覚低下と静的バランス,動的バランスとの関係

本研究の目的は足部冷却による足底感覚の低下が静的バランスへの影響のみなのか,動的バランスにも影響するのかその影響の範囲を検討することである.対象は若年成人10名とし,冷却前後の開眼静止立位・閉眼静止立位時の重心動揺,クロステストのx軸方向、y軸方向への最大移動距離、ステップテストの動作遂行時間を調べ,ウィルコクソンの順位和検定により検定を行った.結果は静止立位では冷却前後で有意に重心動揺が増大し、クロステスト左右方向では有意差がみられたが、クロステスト前後方向、ステップテスト全方向で有意差がみられなかった。このことから足底感覚低下は静止立位バランスの低下をもたらすことが示唆された。また、クロステスト左右方向の動作はクロステスト前後方向やステップテストに比べ、日常的に行う動作ではないことから、習熟していない動作時のバランスを低下させることが示唆された

key words:足底感覚,重心動揺,クロステスト,ステップテスト

 

佐藤ゼミ

 

車椅子のキャスター上げに必要な運動力学的動作解析

本研究の目的は,車椅子キャスター動作ができる学生(以下,可能群)と可能群と同等に座面挙上するが6秒以上保持不可能な大学生(以下,不A群),座面挙上が可能群に比べて小さい大学生(以下,不B群)の3群に分け,各群の座面挙上角度,大車輪角加速度,ハンドリム把持移動角度に着目し,力学的に比較することである.健常大学生33名(可能群14名,不A6名,不B13名)を対象とし,自走式車椅子,三次元動作解析装置VICON(NEXUS)を用いて解析をした.キャスター上げ動作開始後の大車輪前方角加速度発生時から最大発生時(以下,X区間)と大車輪後方角加速度発生時から最大発生時(以下,Y区間)の2区間において解析した.その結果,X区間におけるハンドリム把持移動角度と大車輪前方角加速度では,可能群と不B群において有意な差が認められた(p<0.01).また,不A群と不B群においても有意な差がみられたが(p<0.05),可能群と不A群の2群間には有意な差が認められなかった.Y区間におけるハンドリム把持移動角度と大車輪後方角加速度では,可能群と不A群において有意な差が認められた(p<0.05).これらの結果から,キャスター上げ動作保持を可能にするためには,X地点とY地点の2地点において各項目の基準を満たす必要があると考えられた.

key words:車椅子, キャスター上げ動作,三次元動作解析,大車輪角加速度

 

腰痛患者の脊柱の矢状面におけるアライメントと可動性

本研究の目的は,腰痛患者における胸椎,腰椎,仙骨間のアライメントと可動性を調査・検討することである.対象は,N病院に通院している腰痛患者14名とし,立位,前屈位,後屈位の胸椎,腰椎,仙骨の矢状面アライメント,および前屈位,後屈位の可動域を求めた.その結果,腰椎前彎角度が生理的腰椎前彎角度よりも小さい値を示し,半数以上が後彎化傾向であった.また,立位アライメントは全体的に彎曲角度が減少傾向にあり,腰椎前彎角度の後彎化を代償する為に胸椎・仙骨の彎曲角度も減少したと考えられる.前屈,後屈の可動性も腰椎の可動域が減少している.これは疼痛,腰椎の後弯化などの腰椎機能不全により可動域が低下したからである.これにより,前屈では胸椎・腰椎間の,後屈では腰椎・仙骨間の相対性が破綻したと考えられる.以上より,腰椎の後彎化,可動性の低下や胸椎,腰椎,仙骨間のアライメントの破綻が腰痛の一要因になると考えられる.

Key word:腰痛患者,アライメント,可動性,Spinal Mouse

 

若年健常成人に対するShuttle Walking Testを用いた運動耐用能評価の検討

本研究の目的は,慢性閉塞性肺疾患患者に対する運動耐用能評価のひとつとして用いられているShuttle Walking Teat (以下,SWT)が,若年健常成人に対しても適応性があるかを検討することである.方法は,若年健常成人を,性別,運動習慣の有無により群分けし,SWTの総歩行距離とTreadmillによる最高酸素摂取量(以下,peakVO2)の導出を順不同に実施し,関連性を検討した結果,SWTの総歩行距離とpeakVO2との間には有意な正の相関関係が認められ,性別,運動習慣の有無で分類した群間でそれぞれSWT総歩行距離において有意差が認められた.さらに,性別ごとにSWTの総歩行距離からpeakVO2を算出できる予測式を求めることができ,SWTを用いた運動耐用能評価は若年健常成人に対しても適応できることが示唆された.

key wordsShuttle Walking Test,運動耐用能評価,若年健常成人

 

 

腰痛症例に対する骨盤を意識させた歩行ホームエクササイズの介入

腰痛症に対する運動療法は多くあるが,その効果に関する科学的根拠の検討は現在のところ十分とはいえない.理学療法においてもEBMEvidence Based Medicine)の重要性が言われている昨今,腰痛症に対する運動療法を効果的な治療法として確立するためには臨床研究の発展が必要不可欠である.本研究は,腰痛症患者に対する運動療法として歩行ホームエクササイズという観点から介入し,機能的な変化を検討した.その結果,骨盤を意識させた歩行ホームエクササイズの介入により疼痛の改善,股間節周囲の柔軟性の改善がみられた.このことから骨盤を意識させた歩行ホームエクササイズは腰痛症例に有効と考えられるが,本研究における対象症例数が少ないことや理学療法が介入中に行われていたことから治療期間の設定など今後の課題が明確となった.

key words:腰痛症,骨盤を意識させた歩行ホームエクササイズ

 

ダイナミックキネシオン療法による筋力変化の検証

本研究の目的は,臨床の現場で筋力の維持,改善に用いられているダイナミックキネシオン療法の定量的な効果の検証である.対象は,インフォームドコンセントの得られた本学の男子学生10名とし,多用途筋機能評価装置を用いて膝関節屈曲筋と膝関節伸展筋の筋トルク測定を行った.課題条件は,筋反射点以外へのテープのみの貼付,プラスチックの貼付,ゲルマニウムの貼付,イタ貼りテープの貼付の4条件とした.膝関節屈曲,伸展の角速度を等速性で60deg/sec180deg/sec360deg/secとし,各条件2回の筋トルクを測定し,最大値を測定値とした.結果,4条件の貼付素材による統計学的な有意差は見られなかった.今回は筋がプラスの電荷を帯びていない健常成人男性を対象としたためゲルマニウム本来の効果が表れなかったことが考えられる.

key words:ダイナミックキネシオン療法,筋トルク,筋反射点,ゲルマニウム

 

腰痛疾患例に対するホームエクササイズの介入
~腹部・骨盤帯への運動による機能的変化~

腰痛に悩まされている者は,外来の理学療法において,患者総数の50%以上を占め,腰痛症は外来で最も多く遭遇する疾患のひとつとなっている.しかし,腰痛症に対する運動療法について有効性があるものは少ない.また,腰痛症患者に対して長期的にホームエクササイズを行なった研究は少ない.そこで本研究は,解剖学的作用などから脊柱コントロールに重要な役割があるとされている大腰筋が腰痛に与える影響は大きいと考え,大腰筋を含む腹部・骨盤帯周囲筋に対するホームエクササイズ介入による機能的な変化を,約2ヶ月間にわたって調査した.対象は腰部疾患のあるN病院外来患者4例である.その結果,FFD SLRBHD,股関節屈筋筋力,VASに改善を認めた.このことから,大腰筋を含む腹部・骨盤帯周囲筋に対するホームエクササイズが腰痛患者に有効であることが示唆された.

key words:腰痛,大腰筋,ホームエクササイズ

 

腰痛と心理的要因との関連性
~モーズレイ性格検査・自己評価式抑うつ尺度を用いて~

腰痛には器質的要因だけでなく,非器質的要因も関わっているという報告がある.本研究の目的は,腰痛患者に対しモーズレイ性格検査(以下,MPI)と自己評価式抑うつ尺度(以下,SDS)を用い腰痛と心理的要因との関連性を検討することである.対象はインフォームドコンセントを行い,了承の得ることの出来た.N病院にて治療を受けている腰痛患者11例,男性4例,女性7例,年齢は2893歳(平均54.5歳)とした.検査はアンケート,MPISDSを行った.その結果,腰痛患者は健常人に比べ心理的問題を高率に合併しており,さらに,心理的要因に問題があると示唆された腰痛患者の傾向として,腰痛の罹患期間が長く,他の診療科を受診している傾向があった.

key words:腰痛,MPISDS

 

椿ゼミ

 

側臥位の身体拘束による上肢位置の違いが胸郭拡張差および肺気量に及ぼす影響

本研究の目的は側臥位で左肩関節を屈曲させた肢位(FLEX)と左肩関節を伸展させた肢位(EXT2つの身体拘束肢位で,どちらがより安楽な呼吸が可能であるかを明らかにすることである.若年健常者16名を対象に,安楽な呼吸として呼吸困難感と喀痰能力に着目し,それぞれ腋窩高,剣状突起高,第10肋骨高と3箇所の胸郭拡張差を,肺気量では肺活量(VC),予備吸気量(IRV),予備呼気量(ERV),一回換気量(TV),努力性肺活量(FVC)の測定を実施した.その結果,胸郭拡張差では剣状突起高で有意に高値を示し(p0.05),肺気量測定ではERVFLEXが有意に高値を示した(p0.05).これらから側臥位においてFLEXのほうが,安楽に呼吸ができることを示唆した.

key words:身体拘束,側臥位,上肢,胸郭拡張差,肺気量

 

Mirror Therapyによる左右補足運動野における脳血流量の測定
NIRSを用いた脳血流量による解析~

本研究はMirror Therapy(以下MT)の効果について大脳皮質血流量を測定し,左脳損傷・右脳損傷どちらに対してMTが有効かを検討した.対象は健常成人男性10名とし,左右の足関節背屈運動をMTを用いない(以下MT無)場合,同動作をMTを用いた(以下MT有)場合,安静時の脳血流量を測定し,補足運動野の酸素化ヘモグロビン量(以下Oxy-Hb量)の変化を比較した.その結果,MT有での左右補足運動野におけるOxy-Hb量を左足関節背屈と右足関節背屈で比較したところ,有意な差は得られなかった.本研究の結果からは左脳損傷・右脳損傷どちらに対してMTが有効かを明らかにすることはできなかった.また,MT無と比較してMT有では左足関節背屈,右足関節背屈どちらとも左右補足運動野に相当する部位のOxy-Hb量が有意に増加した(p0.05).このことよりMTが脳卒中後の足関節背屈機能の改善に対して効果的であることを示唆する結果が得られた.

key wordsMirror TherapyNIRS,補足運動野

 

自重スクワットが酸素摂取量・心拍数・収縮期血圧に及ぼす影響

本研究の目的は,自重スクワットによる酸素摂取量(oxygen uptakeVO2),心拍数(heart rateHR),収縮期血圧(systolic blood pressureSBP)の経時的変化について明らかにし,運動処方,リスク管理の指標とすることである.インフォ-ムドコンセントの得られた健常成人男性10名を対象とし,運動負荷試験を施行し,最大酸素摂取量(peak oxygen uptakepeakVO2),最大心拍数(heart rate maxHRmax)を測定後,自重スクワットによるVO2HRSBPを測定した.その後,安静時から運動開始後5分まで1分ごとに%peak VO2,%HRmaxの平均を算出し,SBPの変化を検証した.その結果%peakVO22分まで,%HRmax4分まで,SBPは運動開始後1分から2分まで有意に増加した.心臓リハビリテ-ション,持久力トレ-ニング,運動中止基準の観点から自重スクワットは運動開始後2分までであれば安全かつ効果的であるということを示唆した.

key words:自重スクワット,酸素摂取量,心拍数,収縮期血圧

 

マウスガードがジャンプ動作に与える影響
~床反力からの指標に着目して~

マウスガード(mouthguardMG)装着がパフォーマンスに与える影響の検討を目的とし,MG装着,非装着でのジャンプ動作を床反力からの指標に着目して検証した.健常成人8名を対象とし,直立姿勢からの両脚最大垂直ジャンプを行い,MG装着,非装着での速度,力,パワー,弾性エネルギー,跳躍高を測定した.それらの数値をMG装着開始と1週間後で比較した.その結果,すべての測定項目においてMG装着が非装着に比べ有意に高い値が認められた(p0.05).MG装着により,咬合の安定性,体軸の安定性が高まり,ジャンプ動作に必要な等速性膝伸展筋力が増加したためと考えられる.また,MG装着開始時から1週間後に被験者全員に装着感の減少が認められた事から,MG装着を継続することにより不快な装着感は減少することが示された.これらのことから,MG装着がパフォーマンスを向上させる要素の一つと考えられる.

key words:マウスガード,ジャンプ動作,速度,力,パワー,弾性エネルギー,跳躍高

 

高齢者姿勢での荷物運搬方法の違いが呼吸循環反応に及ぼす影響

本研究の目的は,高齢者疑似体験装具によって高齢者姿勢を擬似的に再現し,荷物なし,リュックサック(以下,リュック),手提げバッグ(以下,手提げ)の3条件の荷物運搬方法の違いが,呼吸循環反応に及ぼす影響を明らかにすることである.それにより,高齢者が荷物運搬方法を選択する際の指標とすることを検討した.健常女性10名を対象として,各運搬条件でのトレッドミル歩行時の心拍数,呼吸数,酸素摂取量体重比,収縮期血圧,拡張期血圧,自覚的運動強度,歩行率を測定し比較した.その結果,全ての測定項目において,荷物なしと比較し,リュックでは有意な差がなく,手提げでは有意に増加していた.この結果から,手提げバッグよりもリュックサックの身体負荷量が軽く,高齢者の荷物運搬方法として推奨されると考えられた.

key words:高齢者姿勢,荷物運搬,呼吸循環反応

 

上肢運動の異なる深呼吸が呼吸循環反応に及ぼす影響

本研究の目的は上肢運動を伴わない深呼吸(以下NORM),上肢挙上を伴う深呼吸(以下FLEX),肩軽度屈曲,水平外転を伴う深呼吸(以下ABD)の異なる深呼吸が呼吸循環反応に及ぼす影響について調べ,呼吸様式による差異ならびに深呼吸の有用性を検討することである.健常成人女性10名を対象として3条件間で比較した.その結果,FLEXABDNORMに比べ換気量,酸素摂取量,心拍数で有意に高い値を示し(p0.01),FLEXABDに比べ酸素摂取量で有意に高い値を示した(p0.05).このことから,ABDFLEXと同程度の効果が期待できると考えられた.また深呼吸実施により酸素摂取量が増加することから,低酸素血症により息切れを起こしやすい慢性閉塞性肺疾患患者にも深呼吸は有用であると推察された.

key words:深呼吸,上肢運動,換気量,酸素摂取量

 

古沢ゼミ

ペダリング動作時のトークリップの有無が下肢筋活動に与える影響

臨床で使用される負荷におけるペダリング動作時のトークリップの有無が下肢筋活動に及ぼす影響について検討した.健常成人10名を対象とし,測定筋は大腿直筋,半膜様筋,大腿二頭筋,前脛骨筋,腓腹筋内側頭,負荷は60W90W120Wでペダリング動作を行わせた.表面筋電図を用いて,各筋の整流平滑化筋電図 (Rectified Filtered Electromyography,以下RFEMG) を導出し,平均筋活動量を%RFEMGとして表し,比較した.その結果,トークリップを装着することにより,大腿直筋は90W120Wにおいて筋活動量が有意に高い値(p<0.05)を示した.トークリップを非装着にすることにより半膜様筋は全負荷で,大腿二頭筋は90Wにおいて筋活動量が有意に高い値(p<0.05)を示し,大腿二頭筋の60W120Wでは筋活動量が増加する傾向(p<0.10)が見られた.以上より,ペダリング動作を行う際,アプローチする筋によってトークリップの有無を含めた設定をすることにより効果的な筋活動を促すことが可能であることが示唆された.

 

運動イメージ時と随意運動時における脳血流量の比較
~近赤外分光法(NIRS)による検討~

本研究は,近赤外分光法(near-infrared spectroscopyNIRS)を用いて,運動イメージ時と随意運動時の脳活動の違いを明らかにし,また運動イメージの条件の違い(メトロノームによる合図の有無)により,脳活動に変化を認めるか検討することを目的とした.対象は健常成人9名とし,課題動作は20秒間の示指タッピングとした.運動イメージ時には,実際運動は行わずに,課題動作をイメージしてもらった.その結果,運動イメージ時には軽い力で行ったコントロールと同程度の運動関連領野の活動が見られ,前頭前野に関しては,最大努力時と同程度の活動が見られた.しかし,運動イメージ時の条件の違いでは,運動関連領野,前頭前野ともに有意差はみられなかった.以上のことから,運動イメージによるイメージトレーニングの有効性が示唆された.

key words:近赤外分光法(near infrared spectroscopyNIRS),運動イメージ,運動関連領野,前頭前野

 

立位姿勢制御に対する上肢肢位の違いおよび注意要求タスクの影響

本研究の目的は,二重課題施行時の上肢挙上肢位の違いおよび注意課題による静的立位バランスに及ぼす影響について明らかにすることである.健常成人女性11名を対象とし,立位保持作業課題としてコップ(精神的作業なし),おもり(精神的作業なし),水の入ったトレイの保持(精神的作業)および,水の入ったトレイを保持するイメージ(精神的作業)の4条件で行った.また課題動作として,肘屈曲90°・前腕中間位と,肩屈曲90°・肘伸展・前腕中間位による閉脚およびタンデム肢位の4つを立位保持課題とした.各課題動作に対し,立位保持課題試行時の重心動揺を測定し,総軌跡長および矩形面積を比較した.その結果,重心動揺は精神的作業なしに対し,精神的作業時に著明に減少した.今回の結果より,上肢肢位の違いが静的立位姿勢制御に関与し,また精神的および注意課題が姿勢制御に影響を与えることが示唆された.

key words:意識,作業姿勢,重心動揺,二重課題

 

動的外反母趾角の測定方法の検討

本研究の目的は,歩行時の外反母趾角の測定をVICONF-スキャン,ビデオカメラの3つの機器を使用して外反母趾角の測定をし,動的外反母趾角の測定方法の検討を行うことであった.健常成人女性12名を対象とした.足背の第1中手骨・基節骨上にラインと第1趾節間関節,第12中足趾節間関節上,踵中央に赤外線マーカーを設定し,足底には第12中足骨頭,母趾に自作マーカーを設定した.足背上のラインからビデオカメラで第1趾測角度を測定し,足底の赤外線マーカー,足底の自作マーカーから足底縦軸線と母趾のなす角を測定した.その結果,静止立位時,歩行時共に3つの機器間で強い相関関係が得られた.3機器各々で動的外反母趾角を有効に測定できる可能性が示唆され,今後これらの機器を使用して動的母趾動態を観察する研究に使用されることが期待される.

key words:動的,外反母趾,測定方法

 

かけ声が膝伸展最大筋力に与える影響について
~拮抗筋の抑制が筋力発揮に及ぼす影響~

本研究の目的は,かけ声が膝関節の最大等尺性収縮(以下,Maximum Voluntary ContractionMVC)に与える影響,及び主動筋,拮抗筋の働きに及ぼす影響ついて明らかにすることである.インフォームドコンセントの得られた下肢に既往歴のない健常成人男性10名を対象に,筋力測定機器,表面筋電計を使用し,かけ声を出した時,出していない時でMVCをそれぞれ測定した.その結果,かけ声ありの値はかけ声なしの値より有意に高い値を示した(p<0.01).二群間の増加率は16.1%であった.また主動筋のかけ声ありの筋活動はかけ声なしでの筋活動より有意に高い値を示した(p<0.01)のに対し,拮抗筋の筋活動は有意な差が見られなかった.以上のことから,筋力発揮時にかけ声を出すことによって主動筋の働きが強くなり,拮抗筋の働きの抑制されることでMVCが増加することが本研究結果より示唆された.

key words:かけ声,膝伸展筋力,拮抗筋

 

前方リーチ動作反復における視覚的フィードバックの影響

本研究の目的は,姿勢制御において,動作反復と視覚情報の有無がストラテジーや下肢筋活動に対してどのように影響を及ぼすか検討することである.対象は,神経学的及び整形外科的疾患の既往のない本学の健常成人男性10名(平均年齢21.8±0.8歳)とした.課題動作として前方へのリーチ動作を開眼と閉眼の2条件でそれぞれ10回反復させ,この間の右下肢筋活動(大腿直筋,前脛骨筋,大腿二頭筋,半膜様筋,腓腹筋)を測定した.その結果,閉眼時において,最終試行が初回試行に対して,大腿直筋では有意な低下(p0.05),腓腹筋では有意な増加が認められた(p0.05).以上より,開眼時よりも閉眼時に,反復が姿勢制御へ影響を及ぼすことが示唆され,ストラテジーの変化に伴い下肢筋活動が変化したと考えられる.

key words:リーチ課題,反復,視覚,ストラテジー,下肢筋電図