大西ゼミ

運動イメージによる運動領域興奮性の変化
~運動誘発電位とF波の比較~
 

 

本研究は,運動イメージが中枢神経系の興奮性に及ぼす影響を解析することを目的とする.対象は健常成人女性10名とし,示指安静時・随意運動時・運動イメージ想起時に大脳運動野手指領域を磁気刺激し,第一背側骨間筋より導出される運動誘発電位と,前腕遠位部尺側で尺骨神経を電気刺激し同筋より導出されるF波を解析した.その結果,安静時に対して右示指外転イメージ時および右外転収縮時において運動誘発電位,F波ともに振幅の増大がみられた.このことから随意運動だけでなく運動イメージ想起においても,大脳運動野手指領域の興奮性が増大しただけでなく脊髄α運動ニューロンにおける興奮性も増大している可能性が示唆された.

key words:運動イメージ,運動誘発電位(MEP),F

 

様々な動作遂行時における下腿三頭筋の筋活動

本研究の目的は様々な動作遂行時における下腿三頭筋の筋活動を計測することである。対象は、健常成人10名とし、日常行われることが多い動作である歩行動作、早歩き動作、二足一段での段差昇降(10cm台、20cm台、30cm台)、踵上げ動作、垂直跳び、横歩き動作時における腓腹筋内側頭・外側頭およびヒラメ筋の筋活動を計測した。その結果、垂直跳びにおいてヒラメ筋が腓腹筋内側頭に比べて有意に高い活動を示した以外、他の課題動作時では各筋間で有意な差は認められなかった。また、歩行動作時の筋活動に比べて有意に強い活動を示したのは、20cm台および30cm台の昇段動作後脚と、踵上げ動作、足関節背屈位からの踵上げ動作、ジャンプ動作であった。これらのことから、日常動作時における下腿三頭筋の活動程度を明確にすることができた。

Key words:筋電図、下腿三頭筋、日常動作

 

運動学習時の両側性転移について
~近赤外分光法(NIRS)を利用した脳活動の検討~

本研究は,近赤外分光法(near-infrared spectropyNIRS)を用いて,右手から左手への両側性転移による運動学習前後で,両側運動関連領野の脳血流量に変化がみられるかを明らかにすることを目的とした.対象は健常成人10名で,課題動作は2個のゴルフボールを手掌で回す動作とし,右手は反時計回り,左手は時計回りとした.右手のみ反復練習を行い,右手練習前後に右手動作,左手動作それぞれで筋活動,ボール回転数,脳血流量を比較した.その結果,反復練習をしていない左手動作においてボール回転数の増加,筋活動の低下を認めた.これは,転移による学習効果で動作遂行が容易となったためと考えられる.また,右手練習前と等しい回転数にした時に右手動作,左手動作それぞれで,運動関連領野の脳血流量が有意に減少した.左手動作時の脳血流量減少は,転移による学習効果で,動作に必要な努力や微調整が不必要になったためと考えられる.以上より,NIRSを利用することで,運動学習における両側性転移について,脳活動の面からの検討が可能であると考えられる.

Key words:近赤外分光法(near-infrared spectropyNIRS),運動学習,両側性転移,脳血流

 

急激な筋伸張が中枢神経興奮性に及ぼす影響

本研究の目的は,急激な筋伸張における中枢神経系の興奮性の変化を経頭蓋磁気刺激による運動誘発電位を用いて検討することである.筋電図導出筋を右第一背側骨間筋(FDI)とし,測定条件は安静時,右示指外転イメージ想起時,右示指外転軽度収縮時,右FDI伸張直前,右FDI伸張直後の5条件とした.その結果,中枢神経系の興奮性は安静時に対しすべての条件で有意に増大していた(p0.05).また,右示指外転イメージ想起時は右FDI伸張直前と,右示指外転軽度収縮時は右FDI伸張直後と同程度の中枢神経系興奮性の増大が見られた.これらのことから,右FDI伸張直後では,右示指軽度外転収縮時と同様の中枢神経系の活動性増大が見られることが明らかになった.

key words:筋伸張,TMSMEP

 

dual-taskによる動作への影響について

本研究の目的はdual-taskが動作に与える影響を明らかにすることである.健常成人20名を対象とし,課題動作として30秒間の足踏み動作,認知課題として足し算,引き算課題を実施した.足踏み動作は大腿を水平になるように挙上すると設定した.計測条件としてこれらの課題をそれぞれ単独で行うsingle-taskと,同時に行うdual-taskを被験者ごとにランダムに提示した.計測項目は床から膝関節,足関節,足趾までの高さ,下肢挙上回数,認知課題正答数とした.その結果,dual-task時に下肢挙上時の床から各関節までの高さは有意に減少し(p0.05),下肢挙上回数に関しては有意な増加が認められた(p0.05).認知課題正答数に関しては両課題間に有意差は認められなかった.このことよりdual-task時には注意分配が起こり,大腿水平挙上を維持するだけの注意量に満たなくなり,結果として下肢挙上高さの減少が生じたと考えられる.

Key wordsdual-task,注意分配,足踏み動作

 

歩行時の腕振り動作が身体に及ぼす影響
~歩容および代謝コストに着目して~

本研究は,携帯型呼気ガス分析器を用いて,歩行時の腕振りの違いが身体の代謝コストに及ぼす影響について明らかにすることを目的とし,検討した.対象は健常男性10名とし,課題動作は4種類(通常,強制腕振り,両側固定,片側固定)の6分間最大歩行とした.結果,歩行距離に有意差は認められなかったが,METS,分時換気量および酸素摂取量といった代謝コストでは,強制腕振り歩行が他の課題動作と比較して有意に大きい値を示した.通常歩行よりも激しい腕振りにより,肩甲帯・骨盤帯の回旋運動が大きくなり,身体全体にかかる負荷量が増加したためであるといえ,強制腕振りが通常歩行よりも身体の循環血流量の増加をもたらすとともに,健常者に対しても高レベルな運動負荷になることが示唆される.これらのことから,歩行時の大きな腕振りは歩行速度を速めることなく高い運動強度の歩行が可能になり,運動処方の際の一つの指標として考えることができる.

Key words6分間最大歩行,腕振り,分時換気量,METS

 

 

古西ゼミ

 

新しい計測器を用いたknee-heightによる身長推定の有効性

本研究の目的は,測定方法が簡便で身長推定に有効な変数を明らかにし,立位保持が困難な場合や,関節拘縮を有する場合にも有効となり得る身長推定式を求めることである.対象は健常成人30名(男性15名,女性15名)とし,平均年齢は21.5±0.8歳であった.立位身長,指極長,前腕長,下腿長,左右上前腸骨棘間距離(以下,ASIS間距離),knee-height(以下,KH),足関節内反底屈位でのKH,足関節内反及び底屈角度などを測定した.KH及びASIS間距離の測定には,新しく作製したKH計測器を使用した.各測定値と身長との相関関係を明らかにし,さらに身長推定式の検討,内反尖足への対応の検討を行った.男女共に身長と強い相関が認められたのは,指極長とKHであった.求められた身長推定式は決定係数R20.7以上であり,有効な推定式であるといえた.内反底屈位でのKHは男性では身長との相関が認められなかったため,内反尖足への対応として,内反底屈位でのKHから求めたKHを用いて身長を推定する方法を考案した.

key words:身長,knee-height,身長推定式

 

セラチューブを用いた肩関節複合面運動の筋力増強効果

多くの筋や関節を同時に使用した複合面運動はヒトの行う動作でよくみられるが,一般的な筋力トレーニングでは重錘等を使用した主動作筋に対する一面トレーニングが多い.本研究ではセラチューブを使用し,複合面と一面のトレーニング方法の違いによる肩関節周囲の筋力増強効果を明らかにした.健常成人女性24名を対象に複合面群(n=8)と一面群(n=8)の運動群,コントロール群(n=8)の3群に分け,運動群は6週間の自主的トレーニングを行った.トレーニング前後で,肩関節屈曲,外転,外旋筋力を測定し,3群間で比較した結果,コントロール群に比べ,運動群では全ての運動方向において筋力増強がみられ(p<0.01),複合面群では一面群に比べ,外旋筋力が有意に増強した(p<0.01).このことから,複合面運動が一面運動に比べ,多方向の運動であるため,より多くの筋の筋力増強に関与している可能性が示唆された.今後は,臨床や健康増進の場面での更なる研究が必要であると考える.

key words:複合面,肩関節,セラチューブ

 

医療と介護の現場における移乗介助方法と腰痛に対する安全管理の現状

医療と介護の現場で行われている移乗介助方法と腰痛に対する安全管理の現状について明らかにするために,新潟県内で調査の承諾が得られた14施設の一般病院,介護老人保健施設,特別養護老人ホームを対象に郵送式アンケート調査を実施した.その結果より,病院・施設で組織的に腰痛対策に取り組むための環境が整っていないということが考えられ,明確な腰痛対策のための指針を病院・施設ごとに設けることが必要であるということがわかった.腰痛対策には,対象者の活動性を引き出し,介助に補助具を利用するような新しい考え方を取り入れた移乗介助方法を行っていくことも必要となってくると思われる.理学療法士としての腰痛対策への関わりとしては,病院や施設における安全管理面へも,介助技術面へも関わっていける可能性がある.これは,理学療法士として社会貢献の場を広げることにもなると考える.

key words:移乗介助,腰痛対策,アンケート

 

車いす片手片足駆動時のタイヤ空気圧が運動強度に及ぼす影響

本研究の目的はタイヤ空気圧の変化が車いす片手片足駆動時の運動強度に与える影響について明らかにすることである.対象者は健常成人男性15名として,模擬的に片麻痺患者の片手片足駆動を行うように指示した.車いすタイヤの空気圧を標準圧(使用タイヤの推奨圧である3.0kgf/cm²),減圧(推奨圧より軽度減圧した2.0kgf/cm²)の2条件に設定し運動強度を比較した.座位姿勢は直立座りとすべり座りの2条件とし,平地に設定した30mの直線コースを片手片足駆動で速度0.75/sec,駆動回数22回を目安で10分間往復させた.車いすに装着した携帯型呼気ガス分析装置を用いて,安静時と駆動時の分時酸素摂取量を測定し,運動強度(MET)を算出した.結果,タイヤ空気圧,姿勢のそれぞれ2条件間に有意な差はみられなかった.今回の研究では,健常成人を対象とし,減圧した程度が軽度であったため,タイヤの転がり抵抗の変化が運動強度に大きな影響を与えなかったのではないかと考えられた.

key words:車いす,タイヤ空気圧,片手片足駆動

 

健常若年成人に対する新しい足趾トレーニングの効果

本研究の目的は草履の鼻緒をヒントに母趾と示趾の矢状面・水平面上の動作に着目し,新たに考案した足趾トレーニングと従来のトレーニングとの効果を比較することである.対象は健常若年成人20名(男性13名,女性7名),40足とし,各人の一側足趾と反対足趾で別々の足趾トレーニングを行わせ,新しいトレーニング群(20足)とタオルギャザー群(20足)に割り付けた.介入期間は4週間で,帰結評価は膝伸展筋力,足趾把持力を指標とし,介入前後で比較した.両群とも膝伸展筋力,足趾把持力が有意に増加した.さらに各群を介入前の評価指標により3分割して要因効果を検定したところ,膝伸展筋力では低値の対象者において,足趾把持力では平均値と高値の対象者において,それぞれの筋力増強効果があることが予測された.さらに推定値より,セラチューブで変化量が大きかった.介入効果が短期間でみられたことから,新しいトレーニングは従来のトレーニングと同等以上の効果があると考えられた.

key words:足趾把持力,鼻緒,セラチューブ,タオルギャザー

 

肩外旋運動時の負荷法と動作角度範囲の違いによる棘上筋厚の変化
~超音波画像診断装置による検討~

肩関節外旋運動時の上腕骨頭を下方へ離開する負荷が棘上筋に対するトレーニングとして有効となるのかを,超音波画像診断装置を用いて検討した.健常若年成人11名を対象に,座位,上腕下垂位,肘関節屈曲90度位にて肩関節外旋運動を行った.この際,5種類の負荷法(無負荷,2種類のセラバンド負荷,2種類の鉄亜鈴負荷)×3箇所の開始肢位(肩関節内旋45度,内外旋中間位,外旋45度)の計15パターンで外旋運動を実施した.同時に棘上筋厚を測定し,同一開始肢位における無負荷時の棘上筋厚に対しての各負荷時における筋厚の変化率(以下,変化率)を比較した.変化率の平均値の差を比較した結果,内旋位開始,中間位開始からの外旋運動において鉄亜鈴5㎏の際に変化率は他の負荷法と比較し,有意に増加していた(p0.05).また,外旋位においては,鉄亜鈴負荷(1㎏,5㎏)ともにセラバンド負荷と比較し,変化率は有意に増加していた(p0.05).鉄亜鈴負荷が棘上筋の選択的トレーニングとして妥当である可能性が示唆された.

key words:棘上筋,負荷法,動作角度範囲,超音波画像診断

 

腹横筋の活動と努力性呼気時の換気機能との関連
~超音波画像診断装置による検討~

本研究の目的は,超音波画像診断装置を用いて測定した安静時から努力性最大呼気時の腹横筋厚の変化と,1秒率との関連を明らかにすることである.対象は喫煙歴のない若年健常男性23名(22.1±1.0歳)とした.安静時に対する努力性最大呼気時の超音波画像上における腹横筋厚の増加率と,電子スパイロメーターを用いて測定した1秒率との関連をスピアマンの順位相関係数の検定を用いて検討した.有意水準は5%とした.安静時から努力性呼気時の腹横筋の増加率と1秒率の間に有意な相関関係は認められなかった(r=0.34p=0.11).1秒率は肺・胸郭の弾性,横隔膜など他の呼吸筋の影響が大きいため,腹横筋との関連が低かったと考えられる.今後これらのことを考慮した研究が必要と考える.

key words:腹横筋,1秒率,超音波画像診断装置

 

 

高木ゼミ

 

片側下肢筋疲労が足圧中心動揺に及ぼす影響
~スタンスとの関係性~

本研究は,足部内側縁の左右幅(以下:スタンス)を3条件に変化させ,安静時および片側股関節外転筋の局所的筋疲労時の足圧中心動揺を測定し,安定した静止立位姿勢を考案することを目的とした.対象は健常成人男性10名(21.7±0.5歳)とした.スタンスが小さい場合でのみ筋疲労後に矩形面積値の有意な増加が見られた.これは左右動揺中心点が筋疲労を生じさせなかった側へ偏倚したことに伴って,左右動揺振幅が増加したことが原因と考えられた.筋疲労後の3条件間で矩形面積の有意な差は見られなかった.今回は若年健常成人を対象としたために筋疲労を生じさせなかった側の支持性が高齢者に比べ高かったことが原因として考えられた.

key words:足圧中心動揺,筋疲労,スタンス,静止立位

 

二重課題における脳活動の変化
~近赤外分光法(NIRS)による検討~

本研究は,認知課題時,運動課題時,二重課題時の脳活動を近赤外分光法を用いて明らかにすることと,二重課題上での認知・運動課題双方の成績を比較することを目的とした.対象は健常成人8名とし,認知課題として暗算での減算,運動課題として手指対立運動,二重課題として認知課題と運動課題を両方同時に行った.その結果,課題成績では8人中3人が二重課題時の運動課題成績が低下し,5人が計算課題の成績が低下した.認知課題と運動課題の難易度が個人で差があったため,個人にとって簡単で自動処理が可能な課題であれば,二重課題を行っても課題成績が低下しなかったと考える.脳活動については,前頭連合野では運動課題と比較し,認知課題・二重課題上で酸素化ヘモグロビン量が有意に増加し,一次運動野では認知課題と比較し,運動課題・二重課題上で有意に酸素化ヘモグロビン量が増加した結果となった.実行成績には差があったものの,脳活動では二重課題時に前頭連合野と一時運動野の脳活動が同時に起こっていることから,単一課題と比較し,二重課題時において脳活動が増加するのではないかと考えられる.

key words:近赤外分光法(nearinfrared spectroscopyNIRS),脳活動,二重課題,認知課題,運動課題

 

NIRSを用いた閉眼・開眼での描写課題時の運動前野の活動の計測

本研究は,視覚情報野と運動調節に関わりを持つとされる大脳皮質運動前野の働きを,近赤外分光法(near infrared spectroscopy,以下NIRS)を用いて計測することを目的とした.課題動作は,視覚フィードバックのある状態として開眼で迷路課題を行うこととし,視覚フィードバックのない状態として閉眼で迷路課題と同様の図形を描くこととした.2つの課題時の酸素化ヘモグロビン変化量を大脳皮質運動感覚野と大脳皮質運動前野について比較した結果,大脳皮質運動感覚野においては2つの課題間に有意差は認められなかったが,大脳皮質運動前野では,閉眼に比べ開眼での迷路課題時の酸素化ヘモグロビン変化量が有意に高かった.これは,開眼で視覚フィードバックのある状態では大脳皮質運動前野が活動しているということを示している.そのことから,NIRSで視覚フィードバック課題時の大脳皮質運動前野の活動を計測することが可能であるということが示唆された.

Key words:近赤外分光法(near infrared spectroscopyNIRS),大脳皮質運動前野,視覚フィードバック

 

Mirror Therapyによる皮膚温度変化

本研究の目的は,上肢を用いたMirror Therapy(以下MT)において,大脳皮質に入力された視覚的な錯覚による刺激が,出力として体表にどのような変化をもたらすか調べることである.今回は皮膚温度に着目して,測定・検討を行った.対象は2123歳の健常成人男性15名とし,課題動作は非利き手上肢の把持動作時に鏡を用いるMT条件と鏡を用いないNOMT条件の2つの条件で行った.また,サーモメータを用いて,動作前後で両側の上腕骨茎状突起上で皮膚温度の測定を行った.その結果,MT条件の課題動作を行った時にNOMT条件と比較して,両上肢の皮膚温度が有意に上昇した.さらに,皮膚温度の変化率を両側で比較したところ,非運動側において有意な増加が認められた.この結果から,MTによる皮膚温度上昇効果,非運動側である利き手側における,より大きな皮膚温度上昇効果が示唆された.

key wordsMirror Therapy,皮膚温度,交感神経,運動前野

 

筋膜ラインへのテーピングの有効性
~関節トルクからの検討~

本研究は,Myersが提唱する筋膜ラインに対しテーピングを行った際の筋発揮力を検討した.今回上肢背部の表層に存在するThe Superficial Back Arm Lineに対し,筋に対して有効であるキネシオテープ(以下KT)を使用し,最大肩関節外転トルクを測定した.対象は健常成人18名とし,使用機器は筋力測定器BIODEXを使用し,角速度は60deg/sec180deg/secとした.また従来のKTの装着方法と比較するため加瀬らが推奨する三角筋テープとの比較を行った.結果,180deg/secで筋膜ラインに対してテーピングを装着した方がなにも装着しない場合と従来の三角筋テープに比べ,最大トルクが有意に増加した(p<0.05).これは早い運動に有効的であるKTの装着によるものと,KTを筋膜ラインに装着した事による運動効率の上昇によるものだと考えられる.筋膜ラインという概念は先行研究も少なくまだまだ未開発の分野のため,多方面から更なる検討が必要である.

key words:筋膜ライン,キネシオテープ,関節トルク

  

地神ゼミ

 

プライオメトリックトレーニングが跳躍機能に与える影響

筋の伸張-短縮の流れはストレッチ・ショートニング・サイクル(以下SSC)と呼ばれる.本研究は,跳躍動作における足関節のSSCの切り返し機能に着目し,SSCの機能改善に効果があるプライオメトリックトレーニング(以下PT)の中でも低負荷のカウンタームーブメントジャンプ(以下CMJ)が跳躍機能にどう影響を与えるかを検証した.対象は健常男性でPT介入群4名,非介入群4名とし,介入群は3週間のCMJを実施した.両群とも期間前後で垂直跳びの跳躍高,連続ジャンプの接地時間,足関節の底屈筋力を評価した.垂直跳びの跳躍高は介入群では4人全て向上した.非介入群の跳躍高,両群の接地時間と底屈筋力に有意な差は認められなかった.接地時間の短縮に至らなかったのはCMJが低負荷であり,伸張反射を利用した速い収縮のPTとしての効果が低かったためと考えられる.しかし,跳躍高が向上したことから,PTによる足関節のSSCの機能改善に効果があることが示唆された.

key words:ストレッチ・ショートニング・サイクル,プライオメトリックトレーニング,カウンタームーブメントジャンプ

 

視覚情報の有無がジャンプ着地動作時における下肢関節の最大屈曲角度に与える影響

本研究の目的は,視覚情報の有無が,ジャンプ着地動作における股関節,膝関節,足関節の最大屈曲(背屈)角度に及ぼす影響を明らかにすることである.対象は実験内容を説明し同意が得られた,健常成人男性10名とした.着地時の最大屈曲(背屈)角度の測定には三次元動作解析装置を用いた.課題動作は,立位姿勢から最大努力で垂直跳びを行い,着地する動作を開眼と閉眼の2条件で測定した.解析は開眼,閉眼状態における着地時の股関節,膝関節,足関節の最大屈曲(背屈)角度,および3関節が最大屈曲(背屈)に達する順序とした.その結果,股関節,膝関節,足関節すべての関節で開眼,閉眼状態における最大屈曲(背屈)角度に有意差は認められなかった.また,開眼,閉眼状態において足関節が最初に最大屈曲(背屈)角度に達する傾向があった.本研究の結果,着地動作の最初に足関節背屈させることで姿勢制御を行っていることが示唆された.

key words:視覚情報,着地動作,最大屈曲(背屈)角度

 

二重課題条件下での訓練が若年健常者のワーキングメモリに及ぼす影響

本研究では,二重課題条件下での訓練が若年健常者のワーキングメモリに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした.15名の被験者を5名ずつ運動課題群,外乱刺激課題群,二重課題群の3群に分け,それぞれの注意能力の変化をTMT-BPASAT,二重課題を用いて評価した.運動課題群は小豆移し,外乱刺激課題群は計算課題,二重課題群は両課題を同時に行う介入訓練を行った後,TMT-BPASAT,二重課題による評価を行った.その結果,二重課題群のTMT-BPASATが有意に向上した.以上のことから,二重課題条件下の訓練によるワーキングメモリ機能の向上が推察された.それにより選択的注意能力が向上し,必要な事象に必要なだけの注意量を分配することができるようになり,且つ向けられる注意量は訓練前よりも少ない量で済み,結果的に課題遂行能力が向上したと考えられる.

key words:二重課題,ワーキングメモリ,若年健常者